杉並区では昭和39年に青梅市郊外に区職員の保養所として「青梅寮」という施設を取得し平成13年まで使用してきました。
 この施設は約1800uの敷地に明治期に建築された近代養蚕農家の典型例といわれる杉皮ぶき屋根の母屋を中心に蔵づくりの倉庫や物置などが備えられていますが、場所柄、交通の便が悪く、年々利用する職員も少なくなり、また施設の老朽化が進んできたことからも、この施設を平成13年に廃止し、青梅寮の売却方針を打ち出しました。
 そこで区は平成13年と15年に民間への売却を対象とした公募を行いましたが、結局買い手が見つからず、約8年間 無人の施設として放置され、また警備会社へ管理委託費用として、総額1000万円近くの大切な税金がこの間、無駄に使われ続けていました。



青梅市へ「青梅寮」を4200万円で売却
 そこで私は平成17年の予算委員会において、議会で初めてこの無駄遣いを指摘し、以来今回の予算審議を含めて7回にわたって「青梅寮問題」を議会で取り上げ、区に対し早急な処分を求めて参りました。
 この結果、今年の1月29日に売却先として青梅市が市西部の吉野梅郷や御岳山、多摩川などを訪れるハイキング客らの増加で不足しつつある観光インフラを拡充する目的に大型観光バスの駐車場や休憩所として、この青梅寮を活用して観光スポットの整備を行いたいとの購入意向があり、4200万円の売却価格でようやく基本合意に達しました。



「青梅寮」の売却を機に青梅市との観光交流がスタート!
 青梅寮の売却価格について区は昨年、土地の鑑定評価を行い6700万円という査定額でしたが、今回青梅市への売却価格と比べると3割以上減額して譲渡することとなりました。これは国や都から杉並区へ土地が払い下げられるときには、公用に使うことを条件として減額して購入できることが通例になっている一方、区の条例でも区有財産を他の自治体に譲渡する時にも、時価よりも低い価格で譲渡することができるとされている規定によるものです。
 しかし区の財産は区民全体の財産でもあるわけですから、減額割合された分については区民が納得できるような付加価値というものも青梅市から得られなければいけないと思い、議会で質問しました。
 この結果、青梅市から杉並区に対して御岳渓谷の旅館や吉川英治記念館をはじめ各美術館や日帰り温泉施設などに杉並区民が特別割引で利用できる観光交流協定や防災相互協定、森林ボランティア交流などの各分野に関する交流協定などの締結の申し入れがあり、区として初の都内自治体間交流が実現する運びとなりました。

 青梅寮の売却価格については、いろいろ申し上げたいこともありますが、しかしこれを契機に自治体間の交流が始まることとなりました。私も長年この問題について追求してきた甲斐がありましたし、時間はかかりましたが今後の両自治体の橋渡しとして、末永くこの土地が有効に活用され青梅市民はもとより多くの杉並区民に愛され交流が深まることを期待するところです。